あまりにもユニークでテレビ番組にも取り上げられるほどの人気を博する、佐世保に住む桃太郎家族。
その桃太郎家族が、2019年6月16日に開催された「桃太郎講演会」(於:佐世保市立図書館)に桃太郎俳優である神木優をゲストに招待。
それまでに至る過程や、桃太郎に対する想いを聞いてみた。





神木  桃太郎講演会、お疲れ様でした。
講師に呼んでいただきまして、ありがとうございました。
なぜ桃太郎なのか?という話はまたのちほど伺いたいと思いますが、まず今回の会を主催しようと思ったのは何故ですか


佐世保の桃太郎(以下、桃太郎) 桃太郎講演会、佐世保まで来てくださりありがとうございました。
なぜ、今回の会を主催しようと思ったか?ですが、単刀直入に言うと、イケメン桃太郎と絡みたかったから! ですね(笑)


神木  そんなわけないでしょう!!もっと核心をお願いします!


桃太郎 私の人生で会を企画し主催として開催するなんて思ってもいませんでした。
イケメン桃太郎、神木優さんとの御縁は、佐世保で開催された講談師、神田山緑さんの講談教室に子供と一緒に行ったのがきっかけです。
その講談教室でも私、佐世保の桃太郎の格好で行ったんです。
全国でご活躍なさっている先生の印象に残りたかった。っていうのもあります。
人がしない事をやらないと目立たない。
そのくせ結構な無口でガツガツ感ゼロなんですが(笑)


神木  山緑さんもびっくりしたでしょうね、いきなり白塗りの桃太郎さんが生徒としてやってきたら


桃太郎 講談教室のあとの懇親会で山緑さんに、佐世保の桃太郎でこういう活動してるんです。ってお話させて貰えて。
そしたら「桃ちゃん!東京にね、こんな桃太郎いるんだよ」って写真見せて貰えて。
わっ!イケメンだあー!桃太郎だぁー!!って舞い上がっちゃって、山緑さんとの懇親会での話そっちのけで頭の中はイケメン桃太郎で埋め尽くされて(笑)
で、アプローチして【桃太郎講演会】を企画しました。


神木  なるほど。 では、桃太郎というよりは、神木優の顔面に会いたかったんですね?(笑)


桃太郎 桃太郎をしてるイケメンだったからであって、単なるイケメンには会っても話のネタに困るしねー。


神木  ではやはり「桃太郎」が大事だったんですね。





神木  では、佐世保の桃太郎さんが、桃太郎に出会ったきっかけ、桃太郎になろう!と思ったきっかけを教えていただけますか?


桃太郎 私の両親とは血が繋がってなくて養女なんですよ。
世の中、お腹を痛めて産んだ我が子に対して痛ましい事件が後を断たず知る度に悔しかったり親に対して憎しみを抱いたりします。
血縁関係のない両親は私に最上級の愛って言うんでしょうか、もうね、見てくれたら解るようにこんなに大きく立派に育て上げてくれた訳なんですよ(笑)

私も結婚して家庭が出来たら、子宝に恵まれたら、楽しく愛情いっぱいに過ごしたい!って主人と出会い夫婦となって11年目です。(2008年結婚)
子を授かり、1年1年の行事、節目を楽しく家の中で大切に過ごしたいと、例えば【節分には鬼になる】【誕生日にはとんがり帽子をみんなで被る】【クリスマスは夜中サンタになってプレゼントを置く】などをしています。
家の中だけだったのが、子供の成長とともに外でのイベントに出かけるようになりました。ハロウィンとか、佐世保のキラフェスっていうアーケードであるイベントとかに。
それが何年か続いて、ある日「この風景(家庭)の中に犬が居たらステキかも!」と思って(笑)
保護犬のゴンタが家族の一員になってくれた訳です。

家族、犬も家族。
「家族」で一体感のある【何か】ないかな~。って母に相談したら、
「桃太郎は?」と。
この一言が無かったら佐世保の桃太郎、桃太郎家族は無かったんです!


神木  そうだったんですね。2日間ご一緒させていただいて、伺っていない事もあったので、びっくり半分、納得120%しました。
おかあさんの「桃太郎」発言から、佐世保の桃太郎家族が生まれたんですね〜。やはり桃太郎さんは偉大ですね。

それで、ずーっと聞きたかったんですが、桃太郎さんだけ白塗りをしているのは訳があるんですか?
目立ちたかったから?(笑)


桃太郎 目立ちたい、それもあります!
けど、初っぱなの、このキャラ設定(笑)した時から「白塗り」だったし、当時の私に戻って聞けるなら尋ねたい。【なんで白く塗ってると?】って(笑)


神木  わからんのかい!!でも、当初のキャラ設定を貫いているっていうのもすごいですね。
照れ隠しの一つだったのかもしれないし、喜ばせたいモードのスイッチのような感じですよね、きっと


桃太郎 「白塗り」とりあえず【おもしろい】かなって。
スイッチは、白塗りとカツラ被って全スイッチ入ります。


神木  白塗りが面白いっていう発想(笑)
ただ、白塗りをイベントの中でやるのはわかるんですけど、控え室でメイクしてパフォーマンスをするってね、
でも、佐世保の桃太郎さんは、プライベートもそれじゃないですか、普通に車運転するし、普通に街中を歩いてるし、警察に止められることないんですか?(笑)


桃太郎 白塗りして運転しますね(笑)神木さん助手席、隣に乗られて違和感ありすぎたでしょー(笑)


神木  そうですね、予想はしてましたけど、空港でお出迎えしていただいたとき、なんか変なのが来た!って思いましたよ、普通に。途中からだいぶ慣れましたけど、、


桃太郎 桃太郎で運転しようと思って1番最初にした事は警察署へ尋ねたんです。
「あのー、バカ殿ってご存知ですか? ちょんまげのカツラ付けて白塗りしてる。」
「はい、わかりますよ。」
「そういう格好で運転、、、ってして良かとでしょうか?」
「んー特にダメじゃないでしょうが、、、被りものじゃなくてお化粧なんですよね?」
「はい、化粧の濃ゆい感じです」
「大丈夫だと思います。」


神木  どんな会話ですか、それ(笑)


桃太郎 て事で今まで運転中の職務質問とか停められたの、0回です!
前を走ってる車はバックミラーで何度も確認しているのか必ずと言って良いほどスピードが減少しますが(笑)


神木  最初、プライベートでその格好をして、いろんな人に見られる事に抵抗はなかったんですか?
それも面白いと思えた?


桃太郎 一番最初のプライベートでは、桃太郎で何処に行ったけ、、、(笑)
あっ!桃太郎の格好して、はじめて行ったのは【わんわん運動会】ですー!
ドッグランで開催された、犬の運動会ね(笑)
ゴンタが家族になってくれて、母(おばあちゃん)が【桃太郎やったら!?】発言の後に、ちょーどタイミングよく【犬の運動会】があったんです。

その【犬の運動会】の種目に、「仮装コンテスト」があった。
「犬の仮装コンテスト」なのに、【犬が主役】なのに、、、
桃太郎家族で行ったのが、初プライベート桃太郎だった。


神木  全員仮装ですか?


桃太郎 はい(笑)それが大ウケしまして(笑)
我が家以外のご家族さんは【犬だけ仮装】して普通の格好でいらっしゃるんですから(笑)
気になる【犬の仮装コンテスト】の結果知りたいですか?(笑)


神木  あ、いいです!


桃太郎  そう言わずに聞いてくださーい!
【愛犬家賞】に表彰されて。はい、調子に乗ってしまいました。調子に乗り続けていま現在まできてます。最初から桃太郎は抵抗なかったです。


神木  愛犬家賞!(笑)審査員側も、犬よりも目立っているあの家族は、、、触れておかないとダメでしょう、、って、スルーできない存在だんったんでしょう、きっと。
お母様の「桃太郎やったら?」というタイミングといい、犬の仮装コンテストのタイミングといい、桃太郎家族になるための導きだったのかもしれないですね。
今思うと偶然の重なりかもしれないけど、後々思い返せば運命的な合致ってありますもんね。


桃太郎 なるべくして、なった(どや顔)


神木  全員が仮装して、楽しみつつも、自分たち以外の人に向けてのサービス、エンタメですよね。
って事は、やっぱり人に面白がってほしい、楽しんでもらいたいっていう気持ちですよね。
素敵ですね、人のための何かって。あんまりできる事じゃないと思いますし。


桃太郎 まず私は本当に恵まれているし、幸せなんだと日々感謝しています。
人のために、人に笑って貰いたい!って思えるのは私自身が満たされてるから。
家族の理解、協力があってこそ!なんです。





神木  佐世保の桃太郎さんにとって、「桃太郎」のイメージってどんな感じですか?
最初、お母さんが「桃太郎やったら?」って言われた時は、ゴンタくんが犬だから桃太郎がちょうどいいって思ったんですよね。いわゆる、仮装のツールみたいな感じだったと思うんですけど、そこからいろいろと活動をしてく中で、変化ありました?


桃太郎 私にとっての「桃太郎」は、「絆、家族の象徴、そして愛」です。
最初はね、犬も一緒にって言ってた私に【西郷さん】は?って母から提案あったんですが(笑)


神木  西郷さんバージョンも見てみたいです(笑)


桃太郎 前向きに検討してみます(笑)家族みんなでの【何か】で「桃太郎」になりました。
桃太郎家族で活動してて、一番私が鮮やか(目立つ笑)のに、ゴンタ(犬)と子供たちには、いくら頑張っても敵わない。


神木  動物と子供の存在感って確かに凄いですね。って、勝とうとしてるじゃないですか、目立ち具合。。(笑)


桃太郎 あ、ほんとだ。。。


神木  今後、子供さんたちが大きくなっていった時に、また楽しみですね。桃太郎家族もどういう風に変化していくのか。


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神木  では、最後に、人に喜んでもらいたい、笑ってもらいたいという想いを持っているとは思いますが、佐世保の桃太郎さんにとって、桃太郎家族さんにとって、思い描く理想の未来を教えていただいてもいいですか?


桃太郎 日本人で知らない人はいないであろう「桃太郎」を私は【家族】で表現しています。
サル役の息子、キジ役の娘の成長とともに、この先【桃太郎家族】は、どうなるか正直解りませんが、あなた達のお母さんは「桃太郎」で笑って貰いたいと活動していたけど、あなた達にはどんな形でも良いから人のために何か出来る人になって欲しい。という願いも込めての【桃太郎家族】です。

家族で過ごせる幸せ。人に笑って貰ってお互いが楽しく幸せになる。
【桃太郎家族】として、これからも家族仲良く笑顔を届けていけたらな、って思っています。


神木  ありがとうございました!
これかも一緒に桃太郎で日本を元気に!していきましょう!


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佐世保の桃太郎さん

1979年12月産まれ。
鹿児島県串木野市出身 
生後2ヶ月の時に長崎県佐世保市の両親の養女となる。
2008年、3才上の夫と5月5日結婚。
2人の子供を授かる。

2009年6月「新婚さんいらっしゃい」出演し、たくさんの方に笑っていただいた事がきっかけで、人に何かをして喜んでほしい。 しかも、家族でその何かをやりたいと熱望する。
私達夫婦、息子、娘、そして私の母と、犬。
犬のゴンタも、もちろん家族の一員。

「そうか! 桃太郎だ!」

お供のサル、キジ、イヌは本物の犬!
こうして佐世保の桃太郎家族が誕生した。

2016年から桃太郎家族は施設などで桃太郎をはじめ様々な演芸をし笑顔をお届けする福祉ボランティア活動をしている。
桃太郎のみでも教育現場などで手遊びや読み聞かせの活動をしている。
熊本地震以来、被災地に度々訪問。西原村で開催した「桃太郎と一緒にきびだんご(風)を作ろうの会」も大変好評を博した。